映画『ヒミズ』の公開に先駆けて行われた、園子温監督の舞台挨拶の模様を、「劇ナビ ムービー」に紹介していますが、動画でアップできなかった、インタビューのすべてを公開します。
![]()
最初に園監督から福岡の皆様にご挨拶お願いします。
20代の頃福岡に住んでいたことがあるので、甘酸っぱい思い出もあるし、今日はなんとなくノスタルジックな気持ちになっています。実はプライベートで昨年も来てるんですけどね(笑)
これまでずっとオリジナルで作ってきたので、わざわざ自分の色を出す必要がありませんでした。『ヒミズ』は、原作を忠実に映画に移植することを大事にしました。漫画を原作にした映画ってものすごい数ありますね。それで漫画が原作になった映画を研究したんですが、結論としては原作にあるスピリットを忘れないようにすることが大事なんだなと思いましたね。
ちなみに原作をお読みになっている方はどれくらいいらっしゃいますか?手をあげてください。(約半分の手が上がる)
結構いるね。
今回漫画の映画化によくありがちな、“コスプレ大会”にはならないようにしようと思っていました。オーディションで登場人物に似た子を選ぶんじゃなくて、眼に見えないところで住田のスピリッツを持っている子を選ぶことを大事にしましたね。
染谷さんと二階堂さんのお2人を演出するときに特に大切にしたことはありますか?
芝居の良し悪しではなく、オーディションでどのくらい闘争心や闘魂が見えるかを判断して決めました。それから何回も稽古を繰り返して、少しずつよくなっていった感じです。
その中で、お2人の新たな魅力を発見することはありましたか?
自分たちで作った殻を壊すことで色んな自由を獲得して、更に表現力が増していくんです。それは日々感じていました。
この映画は “青春映画”ということでいいでしょうか?
まぎれもなく青春映画だと思います。映画の設定の15歳に近い年齢の人を選んでいるので、彼らが自分自身に向かい合って芝居することで、真の青春映画として出来上がっていく感じがしましたね。
ここで会場の皆さんからも直接質問を受け付けたいと思います。映画を見る前ですので、監督ご本人への質問でもいいですし、過去作品に関してでもかまいません。
Q:『冷たい熱帯魚』『恋の罪』は“家賃3部作”だそうですが、今回の作品が3作目なんですか?また次回作についてお聞かせください。
ちなみに“家賃3部作”というのは、僕の親友の「映画秘宝」の編集長が勝手に名づけたものなので、ちょっと困っているところもあるんです(笑)この作品は3部作とは考えていません。次回の構想についてですが、実は昨夜も徹夜で台本を書いていました。来月頭にはもうクランクインします。内容は詳しく話せませんがSF映画になる予定です。その後は日本を一度離れて、ハリウッドやインド方面で撮る予定です。海外で映画を作るのが夢だったので楽しみです。
MC:今回の作品は過去に園監督作品に出演していたキャストがたくさん出ていますが、何か意図があったんでしょうか?
最初は意図してなかったんです。1人1人選んでいるうちに、なんとなくこのキャスティングになってきて、その内にこの映画がある意味自分の中で節目になったんじゃないかと思うようになりました。
Q:今後、古谷さんの作品で映画化したいものはありますか?
古谷さんの作品の中からどれを映画化するかについては、ちょっと迷いました。いつかやりたいなと思う作品も中にはあります。「ヒミズ」以降の作品もいいけど、「行け!稲中卓球部」みたいな冒険的な作品も映画にしてみたいですね。
Q:映画を作る上でのポリシーや信念は何ですか?
ここまできたらゆずりたくないという思いはあります。何億もかかる作品のオファーがあっても、台本が面白いと思えないような映画はやりませんから。一度踏み外すと、永遠にとまらない列車に乗っちゃうようなものだと思うので。低予算でもいい映画を撮っていきたいなと思っています。
Q:『ヒミズ』を映画化しようと思った経緯を教えてください。それと他の作品との違いは何ですか?
そろそろ原作ものをやってみようと思っていたんです。それで、プロデューサーが映画の原作になるような本を持ってきてくれて、たくさん読みました。ただ、どれも初めての作品としてはどうかなと思って。簡単な比喩で例えると、僕が乙女だとすると初めての男性は慎重に選びたいと思ったんです。あとは勘だけですよね。自分から持っていこうかなと思ったのが「ヒミズ」だったんです。この原作を選んだのは何故ですかとよく聞かれるんですが、初めての作品は大きすぎず、小さすぎず、色んな意味で自分にフィットした作品にしたいと思って選びました。
Q:オリジナルと原作の面白さの違いはありますか?また『ヒミズ』以降、今後のオリジナル作品に影響を及ぼしそうですか?
漫画って映画にするのはとても難しいんです。僕が好きな伊藤潤二さんの作品でもその絵というかタッチを完全に同じように映像にしようとすると全く違うものになるのは明らかなんです。たとえば「ヒミズ」のお父さんの顔が漫画で1ページ全部使って登場する場面があるんですが、この効果を表現する為にスクリーンを大きくする事はできませんよね。
漫画と映画の説得力の違いを表現するのが難しかったです。でもそれが非常に面白かったです。今後は漫画だけでなく小説にもトライしてみたいという気持ちが出てきました。
あんまり偉そうに言い過ぎると、見た後に言ってた事と違うと言われそうで良くないですね(笑)今後の作品への影響についてですが、気づかない内に出てくると思います。ドラマ「時効警察」をやった後に、『愛のむきだし』を撮った時も、意識してないのにコミカルなものが出てきたりしたので。
Q:最近ご結婚された神楽坂恵さんとのエピソードがあれば教えて下さい
ネタばれになってしまいますが、『冷たい熱帯魚』であんなに憎みあった2人が、『ヒミズ』では仲良くなっているのは、僕のパーソナルな問題が反映されています。
それと、サプライズにしたくて小道具の人にこっそり彼女の指輪のサイズを教えてもらいました。職権乱用ですよね(笑)でもそのおかげで不意打ちで婚約指輪を渡すことができたので良かったです。
これは今日初めて話したエピソードです。
MC:最後に、これから見る皆さんにメッセージをお願いします。
自分なりにがんばりました。いい青春映画になったと思いますので、最後までゆっくり楽しんでください。今日はこういう機会にお集まりくださり感謝しています。ありがとうございました。
▼映画『ヒミズ』 公演情報はこちら
http://gekinavi.jp/theater/2011/12/post-123.html